16歳 | ナノ

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「NO NAME?!」

草木から出ると、燐の慌てたような声が耳に入ってきた。

「昨日ぶりですね、NO NAME」

「…私のこと、なんで…」

「おい、NO NAMEには関わるなよ」

疑問をピエロみたいな人にぶつけようとすると、

燐の低い声に殺される、

燐は私の腕を掴んで、ピエロの人との間に立った。

「残念ながら、そうはいきませんよ」

「…どうゆうことだ」

「藤本神父から聞いていないようですね」

そう言って、楽しそうに口元を釣り上げた

「彼女はこれから先、私たちと関わらなければ生きていけない、貴方ならわかるでしょう?」

「…テメェ」

「っ…」

燐の低い声が発せられると同時に、

掴まれた腕に力が入る。

「……誘われるでしょう?その香りに」

「うるせェ!!!」

「!」

燐の大きな声に背中がびくついた、

燐はいつも大きな声を出して怒るけど、

今の声は、本当の怒りが混ざっていた、

「行くぞ、NO NAME」

「ちょ……燐っ…」

私を引っ張りズンズンと歩いていく、

それに逆らえないのは知ってる、

だから抵抗なんてしない。

ふと振り返った先で、

目があった。

「…またお会いしましょう」

小さな声で言ったあのピエロのような人。

私にはなぜかそれがハッキリと聞こえていた。


「痛いよ、燐…」


燐に力では逆らえない、

けど、痛いものは痛い。

それを聞いた燐は、歩く足を止めた。

「…」

私の手を離した燐は、

そのまま私を見た。

「……ねぇ、燐…私まだ父さんがなんで死んだか聞いてない」

父さんは死んでしまった、

なぜ?

なんで教会は崩壊してしまったの…?

あの時、燐は泣いてた。

きっと燐は、傷ついてる

なのに私は、もっと燐を傷つけようとしてる。

「…ジジィは、」

そこまで言って燐は口を閉ざした。

ほら、やっぱり傷ついた。

「…ごめんね、燐」

私は、

何もできないから


貴方を傷つけることしか。



 

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