笑みをこぼす | ナノ

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洗濯物を手伝ったり、家の中の掃除をしたりして、

夕方になった。利吉さんのお母さんにほうきを借りて、庭を掃除することにした。

落ち葉を集めていくと、草の向こうから白い小さな動物の足が出てきた。

「あ、猫」

小さな猫はこっちを見ると、愛らしい顔で擦り寄ってきた。

「可愛い猫だねぇ」

目がくりくりしていてすごく可愛い白猫だった。

頭を優しく撫でてやると気持ちよさそうに体をくねらせた。

するとするりと手を抜けて猫は違う方向へ向かっていく、

それに少し残念な気持ちで猫を見ていると、庭の壁に立てかけてあった木刀で爪を磨ごうとしていたので慌てて子猫を抱き上げた。

「こら、ダメだよ」

それにまた可愛らしい鳴き声をあげるとぴょんとてから抜け出して逃げ行ってしまった。

それを見送ると二本ある木刀を見た。

「木刀か、久しぶりかな…?」

ちょっと触ってもいいよね、木刀の一本を取ってほうきを置いた。

久しぶりの木刀の感覚に嬉しく思いながら少し振ってみる。

木刀を持つとなんだか無償に刀を握りたくなってくるなぁ…。

その思いと比例して私は木刀と前に突き出す。

ゆっくりと足を剃らせれば教わった剣の太刀を復習していく。

「あれ?刀が使えるのかい?」

「!」

声のした方へ振り返ってみると、そこには利吉さんの姿があった。

爽やかな笑みを浮かべている利吉に焦りながらも頷くと、利吉さんはもう一本の木刀を持った。

「じゃあ手合わせしてしてもらおうかな」

「え、無理です!!習っていただけなので…!!絶対相手になりませんよ…?!」

私の家は有名な剣豪の家だったらしくて、代々道場を受け継いでその剣術を伝えなければならないと、

小さい頃から兄と共に猛特訓されていただが、兄にも叶わずボロ負けしていたのを覚えている。

「そうかな、太刀筋綺麗だったよ?」

「いや、でも……」

ニコニコと笑う彼はひかなそうだと思い、息を吐いて分かりましたと頷いた。

それに利吉さんはまた笑みを浮かべると、私に近づいた。

「手加減してください」

「NO NAMEの強さ次第だね」

初めて呼ばれた名前に胸が一瞬高まった。

それを落ち着かせながらも息をすって、ゆっくりと吐き出すと木刀を構える。

「じゃあ、行くよ」

一歩前に足を動かしたと同時に利吉さんの木刀が降ってくると、

それを自らの木刀で防いだ、左足を前に出して一瞬腰を下げて木刀をひくと、利吉さんの腰を狙うと、簡単によけられてしまう。

それに少し笑った利吉さんはそのまま前に向かって木刀を向けた。

降り注ぐ攻撃を受けながらも攻撃するスキを狙おうと、

思考を巡らせると兄の言葉を思い出す。

『まじ弱くて、相手にならない。』

いつもその言葉の嵐でムカついていたのを思い出すと、

急に身体が軽くなった、その反動で利吉さんの木刀をよけてギリギリの位置で木刀をすり抜けて利吉さんの背後に移動すると、

利吉さんの背後に木刀を向けようとした時、一瞬で振り返られて頭にトン、っという感覚を感じた。

「だから言ったんです…私弱いんですよ」

自らの木刀を引けば、利吉さんのなんだか見たことない表情が帰ってきた。

「いや、君は強かったよ、背後に来られた時は驚いたしね」

ゆっくりと近づいた利吉さんはポンっと私の頭に手を置くと、

爽やかな笑みを浮かべた。

「NO NAME、忍者になったら?」

すらっとそう言った利吉さんに思いっきり顔を歪めた。

「……は?」


 

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