笑みをこぼす | ナノ

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「君がNO NAME?僕は保険委員長の善法寺伊作だよ、この委員会に入ってくれてありがとう!!」

部屋に入った途端に瞳を輝かせて手を伸ばした伊作先輩に微笑みながら手を握った。

「よろしくお願いします、」

爽やかな笑顔は利吉さんと似ているな、と思う。

保険委員になると先生に伝えたら今日の夜集まりがあるということで、

医務室にやってくると、伊作先輩は喜んで迎えてくれた。

「あれ?五年生がなんでここに……って女の人じゃないですか!」

次々と入ってきた低学年の子達は不思議そうに私を見上げると、

三年生の子が口を開いた。

「もしかして噂の転入生の女の子ですか!」

「うん、一応そうです…NO NAMENO NAMEです宜しくね」

そう言って微笑めば、みんな笑いながら挨拶してくれた。

「それで今回集まった件なんだけど、最近こしょうが盗まれるんだ」

「こしょうが!?」

こしょう…あ、この時代だと高価なんだよね。

なんか薬にもなるんだっけ…だから保険委員なんだ。

「だから今日は夜間パトロールをする!」

そう言った伊作先輩の指示で、みんな木の棒を持つと、外に出た。

すると用具委員会も外でパトロールしていたので、

伊作先輩が声をかけると、用具委員長の六年生が用具が盗まれるから、と

パトロールしてたらしい。

っていうか用具委員長さん、美形だなぁ…

私の視線に気づいたらしい用具委員長さんと目が合うと、

疑問形な顔をされた。こんな奴保険委員にいたか、とでも言っているような顔をしていたので、口を開く。

「初めまして、今日転入してきました四年は組のNO NAMENO NAMEです。」

「あぁ、噂の!保険委員会に入ったのか」

「こっちは用具委員長の食満留三郎だよ」

伊作は話を聞いていたのかニコニコしながら食満を紹介した。

「NO NAMEが保険委員会に入ってくれて本当によかったよ」

「私まだ何もしてませんよ」

「入ってくれただけで」

爽やかで優しい笑顔を浮かべるもんだからなんだか嬉しくなる。

良かった、先輩たちもみんな優しそうな委員会だし。

「こちらこそこの委員会に入れてよかったです」

伊作先輩に負けないぐらいの笑顔を浮かべると先輩なんだか照れくさそうに笑った。

「先輩あれ!!!」

一年生の声に六年生二人の視線が一年生の指さした先に向くと、

そこには草がけに隠れる人の姿があった。

「あれはっ!」

「行くぞ!」

伊作先輩と食満先輩が走り出し、角を曲がった途端、前を走っていた伊作先輩の

身体が崩れた。



 

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