笑みをこぼす | ナノ

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「気をつけるのよ、いい?休みの日には帰ってきてね!文を必ず書いて!!」

私を忍術学園に行かせることには抵抗があったらしい利吉さんのお母さんは、

すごく心配してくれた。

「はい、分かりました」

休日には帰ってきてもいい、と言ってくれたお母さんに頬が緩まった。

ここに帰ってきてもいいんだろうか。

居場所のない私にはすごく安心する言葉だったから。

「よし、行こうか」

「はい」

前に歩きだした利吉さんに頷くと、利吉さんのお母さんに一礼して歩きだした。

忍術学園は一旦町に降りてからじゃないといけないらしく、

だんだんと聞こえてくるワイワイする声になんだか胸が高まった。

町に降りると、利吉さんが後ろを振り返って、ここで待っていて。と

言われたので静かに待つことにした。

ってか本当にすごいなぁ、昔は…。

横を通り過ぎていく人たちを眺めていると、ふと自分に影ができた。

「利吉さん」

「はい、これ」

「?」

利吉さんは何かを差し出したのでそれに手を伸ばせば、

髪紐らしきものがあった。

「どうしたんですか?」

「NO NAMEにあげるよ、早く忍者になれるように」

別にならなくてもいいのだが、髪紐を貰ったことがなんだか嬉しくて、

微笑みながらお礼を言うと、利吉さんの頬が緩んだ。

「私は仕事があって学園まで一緒にいけないんだが、町を抜ければすぐだから分かると思うよ」

「分かりました」

町を一緒に抜けると、利吉さんは私の頭にポンと手を置いて、

いつものように優しい笑みを浮かべた。

「気を付けてくださいね」

「NO NAMEもね」

そう言って一瞬で消えていってしまった利吉さんの姿にびっくりしながらも

すぐ傍に見える学園を目指すことにした。


 

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