笑みをこぼす | ナノ
02044/4
「それで…ここは、」
「………こうですか」
「そうそう!物わかりがいいから教えやすいよ」
「いやいや、教えてもらわなくてもいいんですけど!!」
利吉さんの家にお世話になって一週間がたった。
利吉さんは仕事の合間を見つけると、私に忍者関係のことを教えてくる。
「っていうか本当に忍者にする気なんですか私を」
「向いてるから言ってるんだよ、刀の腕は確かだし…早く仕事に就きたいんだろう?」
「そりゃまぁそうですけど!」
よりによって忍者にならなくてもなぁ…
歪んだ顔をしていると、利吉さんは近づいてきた。
「忍者にはなりたくないの?」
「だって、危険じゃないですかぁ」
「そりゃまぁそうだけど、結構楽しいよ」
笑った見せた利吉さんにため息をつく、
つい最近利吉さんはエリート忍者だと知って、驚いたばかりなのに。
今度は私が忍者になれと…。
でも色々臆病な私に忍者なんて向いてないと思うけどなぁ…
「それに、危険なことがあっても私が守ってあげるから」
一週間でこの爽やかスマイルに慣れたとは言えないが、
なんだか裏がありそうな顔に、苦笑いをしながら受け流す。
「おっと、時間だ」
縁側で座って一緒に勉強していた利吉さんは立ち上がると、荷物を背負った。
それに立ち上がると、門まで利吉さんを送った。
「気を付けてくださいね」
「わかってるよ、いってきます」
優しく頭に置かれた手に笑いながら、無事を祈った。
「いってらっしゃい」
忍者の仕事は危険だと思うし、その仕事をこなす利吉さんはすごいと思う。
エリート忍者って呼ばれいるみたいだし。
利吉さんのお父さんもすごい忍者らしいし…。
この時代ってすごいなぁ……
「NO NAMEちゃん、夕飯よー!」
「はぁーい!」
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