strawberry | ナノ

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「あんたは敵の俺を殺そうとした、それだけだ、当たり前だろ、と」

「当たり前じゃない!!」

いきなり声を荒らげた目の前の少女に、

少しびっくりすると、

目の前にには暗い表情の少女に、さっきまでの威勢はどこにいったんだと思った。

「私が手当てする…逃げないから。」

小さくそう言った少女を見つめると、

なんだか真剣そうな顔をしていた。

強ばった顔からは何かをこらえているように見えた。

「あんた、名前は?」

少女の手の枷を解いてやると、

彼女は口を開いた。

「…NO NAME、」

「へぇ、いい名前じゃねぇか、と」

俺が準備した道具を持って、

テキパキと手当てしていく
NO NAME。

俺の傷を見るたびに、暗い顔をしながら、

包帯を巻いていく。

「あんたはアバランチだろ、なんで人が傷つくのを嫌うんだぞ、と」

「アバランチは人が傷つくのを防ぐ組織だよ」

「それでも神羅の奴を傷つけてるんじゃないのか、と」

善悪とか関係なしでいうと、

みんな人間だ。

それに口を閉ざしてしまって、

うつむいてしまったNO NAME。

「ならアバランチも神羅もかわんねーだろ」

「……っ、」

「!」

NO NAMEの頬から落ちたのは、

一粒の涙だった。

NO NAMEを見れば、

唇をぎゅっとかみしめて、

瞳に溜まる涙を必死にこらえていた。

瞳を閉じるたびに落ちていく涙、

そのたびに、なんだか胸の奥が苦しくなった。


「さっきまでの威勢はどこにいったんだよ、と」

「…う、うるさいなぁ…っ」

泣きたくて、泣いてるんじゃないもん。

そう言って必死に涙を拭うが、

やっぱり涙は止まらない様子だった。

「泣きやめよ、と」

「わかってる…、」

涙をなんとかこらえて、

すっかり赤く晴れた瞳を、見てなんだか笑えてきた。

「ん?あんた、瞳が青いな…」

まさか、ソルジャー…な、わけないな。

女がソルジャーになれるはずがない。

だとしたら、この瞳の色はなんだ…、

「?」

ゆっくりと俺の前に両腕を差し出して、

ムスっとした顔でこっちを見るNO NAME。

「枷!」

「あ、そうだったな、と」

仮にもアバランチの仲間をこんな扱いしていいのか、

そう思ったが、

なんだか目の前の少女がさっきの一撃を俺に向かってやってきた奴とは思えなくなってきた、

ただの、泣き虫な子にしか見えない。

「本当にアバランチか、と」

「そうですけど。」

キッパリと答えたNO NAME。

なんだかさっきの泣き顔が忘れられない。






できることならこの少女を笑顔に、





となんとなく思ってしまった。






     

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