RIHAN | ナノ

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では娘はこの子のことか、

それに沸き上がる思いを必死にこらえて、男に向けて言葉を発した。

「おいおい、閉じ込めるってどうゆうことかい?」

「鯉伴様っ?!これは……っ」

俺の存在に驚いたように体制を崩した男は愛想笑いを浮かべると、

次々と言い訳を口走る。虫酸が走る。

この娘の髪もどうせ、こいつが切ったんだろう。

それに一回瞳を閉じると、隣にいた娘の肩を引き寄せた。

「えっ…?!」

「お前さん、この娘貰ってくぜ」

その言葉に男も娘も目を丸くすると、男はしばらくして慌てたように口を開く

「そ、それは困ります鯉伴様っうちの大事な一人娘でして…っ」

「その娘を売ろうとしていたのにか…?」

それに一瞬瞳を見開くと何も言えなくなったように、視線を下げた男。

それを確認すると、引き寄せた娘を抱き上げて、地面を蹴った身体は宙を舞う。

「ちょ…、鯉伴様冗談ですよね!!」

「そう思うかい?」




―――



「っ……」

瞳を開けば最初に移ったのは、黒い髪、そして見覚えのある顔だった。

「鯉伴様……?!」

鯉伴の様が映って、体を起き上がらせれば、くすくすと笑う声が聞こえた。

「あれ……、」

笑う鯉伴様と思い込んでいた姿は、鯉伴様ではなく、それは人間だった。

だが妙にそっくりな顔だち、じーっと見つめていればふいに手が伸ばされた。

「っ、」

引き寄せられて抱きしめられる、それに抵抗しようと胸板を押し返すが、

力が強くて叶わない、顔を上げた時囁かれた言葉。

「俺は人間と妖怪の子、つまり半分人間なんだ」

「じゃあ、貴方は鯉伴様、」

それに驚きを隠せない自分がいた、

思わぬことに瞳を見開いていると、鯉伴様の瞳が細まる。

「半分人間の俺はいやかい?」

「いえ、私も…半分人間なので」

「本当か?!」

「はい、あの父親は本当の父ではないのです。
私の父は人間でした…優しい父でした」

「…人間は好きかい?」

「はい」

自身を持って言える言葉に穏やかに鯉伴様の頬が緩んだ

その優しげな笑顔に胸が高鳴るのがわかる。

「あのっ、離してください…私を帰してください」

「離さねぇし帰さねぇよ」

「なぜ、」

そう言葉を放ったとき、唇に柔らかい感覚が伝わった。

一瞬何が起こったのか分からなったが、だんだんと熱くなっていく顔。

「そりゃあお前が欲しいから」

「あれは冗談でしょう…!」

「いや……本気だったぜ、それとも」

その言葉と同時に肩を押されると、地面に倒れる。

そして顔のすぐ横に両腕が置かれると、ぐっと顔が近くなった。

覆いかぶさる鯉伴様の顔も直視できない。


「それとも俺のことは嫌いかい?」

「…そんなことは、」

「嫌なら俺を押し返して今すぐ逃げたらいい」

その言葉に自らの拳を上げたが、胸板に触れる途中で拳が止まる。

「ずるいです…そんなこと、できるわけない」

内心嬉しい、そう想ってる自分がた。

でもこんな私でいいのかと、不安になっている自分もいた。

「俺はお前が好きだ、一緒になるぞ」

「っ…私でいいんですか…?」

「お前だからだよ、」

またゆっくりと触れ合う唇に瞳を閉じた。

柔らかい感覚が心地よい、熱くなる顔が抑えられない。

何度も角度を変えて触れ合う、

その空間に飲み込まれていく。

「二度とあんな家もどらせねぇ、お前の母親も助ける」

そう言って穏やかな笑顔を見せた鯉伴様に自分も微笑んでみせた。

私にできることなどあまりないけれど、

少しでも貴方の癒やしになれたら、安らぎになれたら。

そう思う、














   


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