RIHAN | ナノ

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「また鯉伴様は!!!」

「今日は違うって、飲みに行くんじゃねーよ」

「あら、そうなの?一体どこへ行くんだい?」

雪麗さんの声に振り返ると、ニコっと笑ってみせた。

「ん、ちょっと野暮用」

そう言って家を出ていくと、遠くからカラス天狗の声が聞こえたようなきこえたような気がしたが、

聞こえないふりをすることにした。

また月が漂う夜空を見上げながら足を目的地まで進める。

「あ、いたいた」

それは昨日娘が立っていた家、

やはり今日も立っていた娘の顔がこちらに向くと、驚いたように目を見開いた。

「おっと、なんで逃げるんだい」

そそくさ家へ入ろうとする娘の腕を掴むと、あからさまに嫌な顔をされる。

「…いえ、」

「なんだ、俺の嫌いなのかい?そりゃ残念」

「そんなわけじゃないですよ」

「ま、いいか」

娘の腕を離してやすと、ふっと息を吐いて娘はこちらを見上げた。

「おめぇ、なんでここにずっといる」

「……気分で、」

そう答えた娘の顔を見ると、小さく笑った、

それにため息をついて娘の横に移動すると、壁にもたれかかると。

不思議そうにこちらを娘は覗いてきた。


「鯉伴様こそ、なんでここにいるんですか…?」

「…そうだなぁ、気分で」

それにニヤっと笑ってみせると、娘は困ったように笑った。

その顔がどうも頭に焼き付いてこびりついてとれない。

「私は、母の帰りを待ってるんです」

「あぁ、昨日の」

「はい、母は仕事に行っていて…家には一人でいたくないから、ずっとここで待っているんです」

「……なんで家にはいたくないんだい?」

「それは…、」

そのあとの言葉を待ったとき、後ろの門が開いた。

そして発せられた怒鳴り声、に娘の背中が震えた。

「お前また外に!!!!!今度こそ閉じ込めるぞ?!」

「…っ、」

声を発した男は見たことのある男だった、

それはいつものあの店で下品な笑いを浮かべていたあの男。





 


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