息を止めるの | ナノ

0401
1/2

「忠誠なんて……、それよりベットに戻って!」

膝まづいたNO NAMEをベットに押し戻した緑色の彼女は

傷の具合を再度確認した。

それを見ていたNO NAMEは、大丈夫そうね、と微笑んだ彼女に向かって声を出した。

「貴方は私を助けてくださったんですか」

「えぇ、私の名前はエリン、貴方は?」

明るい笑顔を向けるエリンに少し眩しそうに瞳を細めたNO NAMEは小さく呟いた。

「私は、NO NAME……です」

小さく呟かれた声にエリンの視線は下がる、そしてふと息を吐いたエリンは

また変わらぬ表情を見せた。

「貴方アルタカの民、なんでしょう」

「はい…ご存知ではないのですか」

それに小さく笑ったエリンは思い出すように緑色の瞳を細める。

「私、母が霧の民なんだけれどね、違う村で育って霧の民のことあまりよく知らないの」

それに小さく瞳を見開いたNO NAMEだった。

「私の一族は霧の民を守るための種族です」

「そう……」

真のある瞳を向けたはずのNO NAMEだったが、エリンの瞳にはそれはあまりにも弱々しく

すぐに朽ちてしまいそうに映っていた。

大怪我をして倒れていた理由はエリンは聞こうとはしなかった。

ただ涙をこらえているような真紅色の美しい瞳はただゆらゆらと揺れている。


「今はゆっくり休んだほうがいいわ、後で何か食べるものを持ってくるから」

それに頷いたNO NAMEは部屋を出ていくエリンの姿をずっと見ていた。

パタン、とドアが締まると一気に気が抜けたように息を吐いた。

「霧の民……、」

緑色の髪にあの輝く瞳は私たち種族を縛る掟。

もう私一人しかその掟を守るものはいないけれど、

それは絶対に裏切れない。





   

[しおりを挟む]
  back  home


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -