息を止めるの | ナノ

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「食事を持ってきた、入るぞ」

「どうぞ、」

王都についたNO NAMEが案内された部屋は真王の住む屋敷のすぐ隣の屋敷だった。

そこは薄暗い屋敷、厳重に警備された部屋にNO NAMEは入れられた。

外に出ることは許されない、食事は堅き盾の者が運んでくる。

監禁という言葉が合っている。

扉が開かれると、中に入ってきたのはイアルだった、

手には食事があった、それをテーブルに置くと、窓際に座っていたNO NAMEを見た。

「…少しは食べたらどうだ、一昨日から一口も食べていない」

一昨日からイアルは食事を運びにきたが、NO NAMEはその食事に触れてはいなかった。

「…食べる気がしないだけですよ」

イアルは瞳を細めると、NO NAMEに近づいた。

それにNO NAMEは気づくと、近づいてきたイアルを見上げる。

「貴方は、ただの警備員ではないらしい」

「…そう、ですね」

イアルには疑問が渦巻いていた。

NO NAMEは闘蛇を切り裂き、真王を救った。真王の傍に置いておきたのはわかる。

だが、ここまでする意味が分からない。これは監禁だ。

「あの、真王陛下はお亡くなりなったと、聞きました」

「そうだ、今はセィミヤ様が真王の座につかれた」

「……この国は、どうなるんでしょうね」

イアルは答えることはなかった、たが同じ疑問を抱えていた。

それともう一つの疑問、もう一つの屋敷にいるされたアルタカの民のトウヤ。

彼もまた屋敷に閉じ込められていた、今までダミアの傍にいたのになぜ。

彼も食事を口にしようとはしなかった、

「あの、イアルさんでしたっけ…」

「あぁ、そうだ」

「エリン、を知っていますよね、無事…ですか」

なぜ彼女がここにいるのか、イアルは察した。

エリンを人質に取られているんだ、なんて汚いやり方だろう。

だが、エリンに兵が送られた情報も、そう命じらてもいない。

「無事、だと思うが」

「良かった、」

小さくNO NAMEは笑った。

その弧を描いた唇にイアルは小さく目を見開いた。





   

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