息を止めるの | ナノ
15011/4
「エリン、NO NAMEが真王陛下と共に行くそうよ」
「…、」
エリンは目を見開いた、小さく息を呑むと、エサルに口を開く。
「それは……どうゆうことですか、」
「真王を守ってほしいそうよ、大公の襲撃があったからよ」
「でも、NO NAMEは…」
NO NAMEはアルタカの民、ダミアにはそれが知られていたことに気づいたエリンは
瞳を再度見開いた。
「あの子が貴方に忠誠を誓ってきたのを知ってるわよね、なら…あの子が簡単にここを離れるわけなどないわ」
「…、」
「分かっているわねエリン、きっと訳があるのよ」
エサルの言葉が胸に響く。
NO NAMEはエリンのために尽くしてきた、その確かな言葉をエリンを苦しめた。
「(私が、NO NAMEを連れていったから…)」
エリンが拳を固く握ったそのとき、エサルは小さな声で呟いた。
「エリン、もう陛下はカザルムを出発しているわ、もちろんNO NAMEも」
もう、会えない。
そう思ったエリンの脳内が揺らぐ、視界が霞む。
「NO NAMEからの伝言よ、」
エリンが顔を上げると、エサルは頷いた。
「“エリン、心配しないで、すぐに帰ってくるよ”と伝えて欲しいと朝、遣いのものが伝えにきたわ」
エリンは瞳を閉じると、赤い髪の彼女を想った。
NO NAMEはきっと私のためにここを離れた、
なぜだが確信できる。
だってあの子はそうゆう子だから。
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