息を止めるの | ナノ

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「う…うぁ……」

「傷は浅いですよ、気を確かに」

目の前で真っ赤に染まった足に包帯を巻きつけながら、唸る男を見下ろすNO NAME。

ゆっくりと瞼を落としたのを確認、すると隣のけが人を手当てしようとNO NAMEは立ち上がった、

そのとき、後ろからエリンの声が聞こえた。

「NO NAMEっ!!」

「エリン、」

エリンは何も言わず、NO NAMEを見つめていた。

その瞳はユラユラ揺れていて、視線はゆっくりと下に向いた。

NO NAMEは小さくエリンの名前を呼ぶと、エリンを引き寄せた。

「…リランを、私は」

「分かってる」

強く抱きしめれば、エリンは小さく息を吐き出して、笑みを浮かべた。

「ごめんね、私けが人の手当てをしてくる」

そう言って走り去ったエリンの姿をNO NAMEは見つめていると、

後ろに人の気配を感じて振り返る。

そこにはカザルム学舎に来た、堅き盾のもう一人が立っていた。

「やっぱりお前、普通の警備員じゃないよな」

NO NAMEは小さく笑みを浮かべると、彼の手のひらに手を差し伸べた。

「…?」

「怪我、してますよ」

素早く包帯を巻きつけると、カイルは驚いたような表情をしてから、

ありがとうと言った。

「いえ、」

NO NAMEはしゃがみこむと、けが人の手当を始める。

カイルも同じように近くのけが人の手当てをしだした。

「闘蛇を引き裂けるなんて、女でできるわけない…本当に女か?」

カイルはNO NAMEを疑っていたわけではなかった。

声の高さも小柄な体型も女だと連想はさせる。

だが闘蛇を殺せるといわれればその考えは反論された。

「女、ですよ」

しれっと答えたNO NAMEにカイルの瞳は細まった。

「じゃあなんで顔を見せない」

「それは色々と面倒だからですよ、」

「面倒…?」

カイルにその言葉は理解できなかったが、

何も言わずけが人の手当てをしていた。



   

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