息を止めるの | ナノ

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考え込むような、そんな表情をしたエサルさんを目の前にして、

私とエリンはただエサルさんから下される言葉を待っていた。

冷たい空気が部屋の中まで入ってくる、外ではまた雪が降り出していた。

ふっと息を吐き出したエサルさんの瞳を見つめれば、その唇は動いた。

「いいわ、貴方にはここにいてもらいましょう」

その言葉に嬉しそうにエリンは瞳を細めた、

忠誠を再び誓ったエリンは私を拒むことはしなかった。

でも私は霧の民ではない。と言ったエリンだったが、掟ではなく自分自身の思いだということを伝えれば、

気の抜けた笑顔が返ってきた。

エリンを守ろうと誓ったのであれば、私もエリンの傍にいたい。

ここにいるには、何か自分にできることがなくては。

まずはエサルさんに言わなければ、と思い、エサルさんの部屋に二人で来ていた。

「貴方を教導師にするわけにはいかないのだけれど…そうね、ここの警備をしてくれるかしら」

「警備ですか」

「ええ、警備といっても甘っちょろいものじゃないわよ。一日中立ち仕事だし、
見回りはちゃんとしてもらうし、雑用だってしてもらう。」

「はい、十分です」

エサルさんに深く頭を下げると、エサルさんが笑ったような気がした。

だが顔を上げた時には顔は曇っているようにも見えた。

「……この髪と目は、生徒たちには良くないのでは」

言いたいことは分かっていたから自ら言うことにした。

自分自身も思っていることで、あまり他人に自分がアルタカの民とは知られたくない。

「それなら私の時のように…」

エリンはそういいかけたが自分自身の言葉でそれをさえぎった、

エリンの紙の色と瞳の色はもうみんなに話してあると聞いている。

だが、私の場合は違うのだ、私の民族はアルタカの民。

「戦闘民族となればみんな怖がってしまうよ」

ただでさえここには平和な子供たちが学ぶために頑張っているのに、

怖がらせたくない。

「…貴方には髪と目を隠すものと、警備員用の服を用意するわ。」

「ありがとうございます」












   

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