息を止めるの | ナノ

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「私に、聞きたい話とはなんですか?」

「ええ、」

エサルさんの部屋に通されて、イスに座らせられると、

後ろからエリンも頷いたのが分かった。それにエサルさんは瞳を閉じて、

再度、開いた。

本当は分かっている、聞きたいことがなんのことだか。

「貴方はアルタカの民に間違いないわね」

「はい。」

「…貴方は、深い傷を負って倒れていたとエリンから聞いたわ」

助けられたことは記憶になかったが、

気を失う寸前、王獣の姿を目にした、そして見えたあの緑色の髪はきっとエリンのもの

王獣は、私を乗せたの…?

収まりきれない気持ちがふわふわと浮いている、

「アルタカの民の貴方が、そんな傷を負うはずがないわ」

この言葉がくるだろうと、分かっていた。

自分でも私の一族に傷をつけられるものがいるとしたら、

王獣や闘蛇くらいであると言い切れる。

「…私の村は、襲撃を受けたんです」

「襲撃、ですって…?!」

蘇る、つい最近の出来事。

忌まわしい、記憶。


   

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