息を止めるの | ナノ

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あの高鳴る感覚、怖くて震えていたはずの全身なのに、なぜか私は笑っていた。

この高い壁を乗り越えることがどんなに困難が知っているはずなのに。

挑戦することをやめようとはなしかった。


「行きなさい」


後ろから聞こえた母さんの声に後押しさせられたかのように、

足は一歩動いた。そしてまた一歩と巨大な壁に近づいてく。

「待て、やっぱりやめるべきだ。兄さん達と違ってまだ幼い」

それを止めたのは父さんだった。いつも気高く凛々しい父だったが、

時には優しく心配しょうであった。

「いいじゃないか、こいつにはそれだけの力があるようにみえるけど」

「そうだ、なあNO NAME怖いか?」

強く優しい兄たちは時に私を試した。

「怖いよ、」

弱音を吐く時だってある、それを兄達は叱ることはしなかった。

でも、本音を言ったときは、抱きしめてくれた。

「でも、戦いたい。」

そう言った私に家族は瞳を細めて笑った。

そして私は立ち向かったのだ、高い壁に。凛々しく偉大な壁に。

幼かった私はその壁を乗り越えることができないと。村のみんなは言っていた。

哀れみを抱く者もいた。

でも両親は決してそれを否定することはなかった。

自分で選んだ道は自分で歩ませる。そう言っていた。

そうだ、私は自分で選んだんだ。この高い壁を乗り越えると。

乗り越えた先に何かがあるような気がしたから。

新しい世界を見れるような気がしたから。






それが、アルタカの民の血が流れる証。



そう母さんは言っていた。






   

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