息を止めるの | ナノ

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「大変だ!!あの赤い髪の二人が!!!!!」

セィミヤの元へと舞い降りたシュナンが叫んだ言葉に皆は頭蛇の方へと視線を向けた。

戦場の真ん中には二人の赤い髪が揺れていた。

しっかりと握られた手は、揺れることはない。

もう寸前まで頭蛇は近づいていた。

「そんな!!NO NAMEっ、トウヤ!!!!!!」

「くっ、」

イアルは顔を歪めて、二人えお見つめた。

彼らが一体何をしたというのか、

彼らに一体なんの罪がある、



彼らは一人の人間だ、この地上に生まれた、一つの命だ。



なぜ世界は彼らを追いやる?!

イアルの心の中でさまよう気持ちは脱力したように、しおれていく。


「…誰か、NO NAMEを…あの青年を!!!」

セィミヤの言葉も無残に風と共に過ぎ去っていく。

誰も助けることなどできなかった。

「(お母さん、なぜ…)」

エリンも呆然したままその場に立ち尽くしていた。

「(なぜ人間まで掟に縛られなければいけないの?なぜNO NAME達が罪を背負わなければならないの?
王獣を縛るように、あの子達も縛っている。
あの子達はただ普通に生きたいだけなのに、忠誠を誓わずとも、生きていけるのに)」

エリンの思いは大きくなって、破裂する。

流れた涙は地面にこぼれ落ちる。


「お願い…っ、NO NAMEをトウヤを、助けてっ!!!!!!」

響いたエリンの声、

それと同時に二人は頭蛇の群れに飲み込まれた。

その中にセィミヤの悲鳴が空に響きわたる。










 

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