息を止めるの | ナノ
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「いや…、トウヤっ!!!!!私はもう、逃げないよ!!!!!」
シュナンの手をふりほどくと、そのまま地上へと舞い降りる。
「バカか!!!!お前は生きろと言ったはずだ!!!」
「嫌だ!もう、一人は…嫌なのっ!!!!」
辛い過去は、忘れることはできないけれど、自分はひとりじゃないと、
思いたかった。
「…くそ、本当にバカな妹だ」
そう言いながらもトウヤは笑みを浮かべていた。
NO NAMEは剣を収める、それにトウヤは少し目を見開く。
「最後まで誇り高くいるんじゃなかったのか」
「私はもう掟には縛られない、もう誰も傷つけたくないから」
その言葉にトウヤは瞳を丸くしたが、頬を緩めて、自分も剣を収めた。
そしてNO NAMEの手を取ると、二人はお互い離れないように手を握り締め合う。
「…そうだな、俺たちは、アルタカの民だ、だが人間なんだ、たとえ祖先が神であっても…」
「うん、最後は、自由に」
寸前まで近づいた頭蛇の群れ、
二人はゆっくりと瞳を閉じた。
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