息を止めるの | ナノ
18022/3
セィミヤが眠りについたのを確認すると、セィミヤの部屋から出る。
扉の前にいつものよう立とうとしたが、一瞬視界が揺らいだ。
NO NAMEの身体がゆっくりと崩れ落ちようとしたが、地面に倒れることはなかった。
「大丈夫か?」
「…っ、」
揺れる視界の中、NO NAMEは自分を支えた人物を見上げた、
自分の顔を心配するような表情でのぞく、茶色の瞳。
「イアル、さん」
「……やはり、休んだほうがいい」
イアルの言葉にNO NAMEは小さく笑うと、身体を立て直して、息を吐く。
「休みたくてもできないよ、」
その言葉は嘘ではなかった、ダミアから降された言葉がNO NAMEを縛っていた。
“常にセィミヤを守るように”
イアルは小さく顔を歪めると、瞳を細めてNO NAMEを見下ろした。
「イアルさんこそ、休んだほうがいいですよ、最近ピリピリしてます。その気持ちは十分わかりますけど」
悪戯っぽく笑うNO NAMEだったが、その表情の裏には闇が渦巻いていた。
だんだんと大きくなっていくその闇は、剣を赤く染めようとする。
それを抑える毎日の方が休まないよりも辛かった。
笑ってごまかせる日々はもうとっくにすぎていた。
← →
[しおりを挟む]