息を止めるの | ナノ

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「トウヤ、お前にはエリンの護衛についてもらう」

「……今更、何を」

暗い部屋の中、壁に寄りかかるトウヤに話しかけたのはダミアあった。

ダミアを見上げる目線は殺気を帯びている。

「そなたに逆らう勇気があるのか?」

トウヤは瞳を細めると、小さく頷いた。

「……分かった、」

思い浮かべるのは大切な妹の姿、死なせるわけにはいかない。

足枷を外されると、トウヤはダミアに向き直る。

「……エリンってのは、誰」

もう前までのような忠誠心はない、前も忠誠心はなかったが、ある程度ダミアを下から見上げていたが、

今はもう、目の前の人物がにくくてたまらない。

「…獣の医術師だよ、素晴らしい才能をもった娘だ」

ダミアの唇が弧を描くと、トウヤは息を吐き出した。

「(その子もまた、縛られているのだろうか)」

だとしたら俺と似ているかもしれない、運命も何もかも違っていても。

ここに縛られれば、同じことになる。

「NO NAMEには、」

「NO NAMEはセィミヤの護衛についてもらっている…エリンとセィミヤの目通りは禁止になっているから…お前たちも会えまい」

「……、」

「安心するがいい、大事なセィミヤの優秀な護衛を簡単には殺さんよ」

トウヤはそれに頷くと、指定された王獣舎へと向かった。

王獣舎の扉の前に立った時、感じた王獣の気配。

外の草で寝ている王獣とはまったかう地学気配。


「(野生の王獣と同じ)」

久しぶりの感覚だった、高鳴る鼓動、今すぐ剣を抜いてしまいたい衝動に駆られる。















 

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