息を止めるの | ナノ

1604
4/4



「NO NAMEと言ったわね」

「はい、」

セィミヤはNO NAMEと二人だけの部屋の中で、後ろで立っているNO NAMEに声をかけた。

小さく返事をしたNO NAMEは被り物をしていない。

もう必要ではなくなったのだ、自分を見て怖がっても、もう何も感じない。

「貴方は、アルタカの民、なの…?」

「そうです」

「綺麗、ね…」

「…何がです?」

人々はこの髪も瞳の色も怖がる、だからこそ孤独な民なのだ。

人間と触れ合うために生まれたわけではない。

守るために、戦うために。

「その髪の色も瞳も、貴方自信も…羨ましいわ」

「…真王ともあろう人が何を…貴方は金色の瞳を持つものですよ、十分美しいです」

私に羨ましいなんていうひと、初めてだ。

「……そう、思う?」

切な気に細められたセィミヤの瞳にNO NAMEは疑問を感じた。

今にも涙がこぼれそうな瞳だったからだ。

「…悲しいのですか?」

「……貴方にはきっと家族がいるでしょう?私にはもう…」

「…いません、」

セィミヤは驚いたように瞳を開いた。

「私の民は、滅びました。何者かに、滅ぼされました…生き残ったのは私一人なのです」

「じゃあ、貴方も同じなのね……。」

セィミヤは涙を零した、小さく漏らされる声をNO NAMEは聞くと、

すっとセィミヤの前まで歩いて、目線を合わせるように腰を下ろした。

「無礼をお許しください」

「なにを…!」

セィミヤが叫んだが、構わずNO NAMEはセィミヤの手を握った。

包み込むように、暖かくなるように。

「…貴方はこの国を背負う者です、それでも貴方は一人の人間です…あまり、抱え込むのは良くないと思いますよ」

NO NAMEはゆっくりと微笑むと、セィミヤの手を離そうとしたが。

セィミヤが逆にNO NAMEの手を掴んだ。

「もう少し…このままで、」










   

[しおりを挟む]
  back  home


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -