息を止めるの | ナノ
16022/4
「NO NAME、食事を口にしていないと聞いたよ」
部屋に入ってきたのはダミアだった、テーブルにあるのは手が付けられていない食事だった
「食べないと、身体がもたないよ、NO NAME…」
NO NAMEの頬に手を伸ばそうとしたダミアの手をNO NAMEは振り払った。
「……それとも、食べたくないと?」
「…いえ、食欲がないだけですよ」
「ふっ……NO NAME、そなたにはセィミヤの警護をしてもらうよ」
「…分かりました」
息を吐き出して、ダミアの後についていくと、真王の屋敷に連れて行かれる。
そこにはイアルさんとカイルの姿もあったが、声はかけなかった。
「セィミア、この者がそなたの身を守るものだよ」
「貴方が?名前はなんというの?」
「NO NAMEと、いいます」
セィミヤは頷くと、NO NAMEの頭の方に視線をうつす。
ダミアはそれに気がついたのか、笑うと、口を開いた。
「NO NAME、被り物をとったらどうだ?」
NO NAMEは瞳を閉じて、再度開くと、被り物を取り上げた。
まっすぐな瞳でセィミヤを見つめた。
その瞬間、部屋の中にいたセィミヤや召使い、イアルが目を見開いた。
息を詰まらせるような空気にNO NAMEは瞳を細めた。
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