息を止めるの | ナノ
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「ほお、妹か……それは、初耳だな」
ダミアが笑った瞬間、仮面の男共全員はトウヤに剣を向けた。
「今すぐ剣を下ろせ、アルタカの民」
下ろすわけなどない、怒りが収まらないのだから。
「トウヤ、お前の妹も私に同じことをした…さすがは兄妹と言った所か、
だが、剣を下ろせトウヤ。
お前の妹を、今すぐ殺したって構わないのだぞ」
許さなさい、許さない、
でもNO NAMEを殺させるわけにはいかない。
ゆっくりと下ろされた剣だったが、殺気を纏うトウヤはダミアを睨んでいた。
「妹に手を出したら、殺すだけでは飽き足らないと思え」
「安心しろ、お前が私を殺しでもしない限り、殺しはしないさ…私はただお前たちに力を貸してもらいたいだけだからな」
「……、」
「あの娘の活躍は目覚しいものだった…闘蛇の群れを蹴散らしたのだからな」
NO NAMEが闘蛇を…、
トウヤは懐かしい妹の姿を想う、そしてゆっくりと顔を上げる。
「NO NAMEに会わせてくれ」
「今は無理だ」
「…、」
「お前がおとなしくなったら会わせてやろう、」
その瞬間トウヤを取り押さえた仮面の男達、トウヤは抵抗しようとしたが、
ダミアの言葉を思い出すと、動けずにいた。
「(俺が動けば、NO NAMEは死ぬのか…)」
なんてひどい仕打ちだ、
たって一人の家族を妹を殺させるわけにはいかないんだ。
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