息を止めるの | ナノ

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「真王陛下が亡くなったってよ」

剣と剣がぶつかる金属音が飛び交う部屋の中でトウヤの瞳が見開いた。

小さな声が耳の中へと入ってきたのだ、その言葉を信じられないでいる。

そして目の前で相手をしていた仮面の男の一人を蹴散らすと、

その言葉を口にした仮面の男共の元へと歩いた。

「おい、それはどうゆうことだ」

トウヤの放つ殺気に仮面の男は揺らぐと、ゆっくりと口を開いた。

「だから…陛下が亡くなったんだ……」

トウヤの瞳が細まると、ゆっくりと息を吸い込んだ。

優しき王がいなくなれば、この国はどうなるのだろうか。

だが国のことを考える余裕などトウヤにはなかった、

全てを失ったトウヤはただ繋がれるだけだ、ダミアという者に。

「頑張っているようだな、トウヤ」

部屋に響いた声に、視線を向けるとダミアの姿があった。

「お帰りになれたのですね、ダミア様」

「ああ」

仮面の男が跪くと、ダミアはトウヤに近づいた。

そして小さな声で囁く、

「そなたの仲間を見つけたよ…」

「?!」

トウヤの瞳が見開くと、心臓が止まったかのように動けなくなっていた。

「…名前はNO NAMEという、見覚えあるか…?」

その瞬間、息ができなくなった。

視界が真っ白になっていくようだ、何も考えられない。

ただ頭に焼き付いているのは、あの優しい笑顔と誇り高い姿。

「(あぁ…生きていた、)」

涙が溢れそうになる、この世界に残されたのは俺一人かと思っていた、

違う、あいつがいる。俺は一人じゃない。

「ここへ連れてきた、お前と同じに扱うつもりだよ」

その言葉を聞いた途端に自分を釣り上げていた糸が切れたかのような音がした。

自らの剣を抜くと、まっすぐにダミアに突き出した。

燃える、心が燃える、胸が熱い、どうしようもない怒りがこみ上げる。

「妹を解放しろ!!!!」

あいつだけは、NO NAMEだけは俺のように縛ることは許さない。

俺の大切なたった一人の妹、

鎖に繋げることなど許さない。

操ることなど許さない。

NO NAMEは生きている、だから、ここへ居てはいけない、






 

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