息を止めるの | ナノ

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王都へ向かう馬車の中で一人、瞳を閉じる。

薄暗い部屋の中で静かに馬の歩く音が聞こえる、と同時に人の気配を感じる。

「よお」

「……、」

瞳を開けると、入ってきたのはあの堅き盾のカイルだった。

NO NAME無言でいると、カイルは面白くなさそうな顔をしてNO NAMEの隣に座った。

「なあ、お前名前は?」

「NO NAMEです」

「そうか、俺はカイルだ、敬語は要らない」

NO NAMEは小さく頷くと、カイルは小さく笑った。

「やっぱり王都に来ることになったか」

カイルはため息をこぼすと、NO NAMEを見る

「ダミア様はお前の種族、アルタカの民をずっと探していたんだよ」

「…そう、」

NO NAMEの瞳が細まる、カイルはそれを見つめると、言葉を続けた。

「でも、なんでだろうな…一番強いお前たちの種族があんなことになってるとは思わなかった」

「私たちを襲ったのは、すごい数の闘蛇と仮面の男、闘蛇だけなら勝てたのに、仮面の男は家を燃やして、懸命に闘蛇と戦うみんなを刺し殺した。」

「仮面の男…って、」

「真王陛下を襲ったあいつら…」

NO NAMEの瞳に焼き付いている闘蛇を乗りこなす仮面の男共、

思い出すだけで瞳の底から熱くなる。

NO NAMEは息を吸い込むと、ゆっくりと吐き出した。

「カイル!どこいったんだ!」

「おっと…そろそろ行く、じゃあな」

少し焦りながら立ち上がったカイルは手を軽く上げて、部屋から出ていった。

NO NAMEはため息をつくと、また瞳を閉じた。






 

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