息を止めるの | ナノ

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「そなたの活躍、見ていた」

NO NAMEが入った部屋の奥にダミアはいた。

ゆっくりと振り返ると、薄暗い部屋の中で怪しく笑うダミアはNO NAMEを見つめた。

「……何かご用でしょうか」

ふっと笑うダミアはNO NAMEに近づくとNO NAMEの被り物を取った。

NO NAMEは反発しないで、静かにダミアを見上げた。

「アルタカの民、私は昔からそなたの一族の力を借りたかった」

「…力?なぜです」

「見ただろう、大公の襲撃を」

底光りするダミアの瞳、金色の瞳の中に何かが渦巻いているように見える。

「そなたには真王を守れる力がある、あの時のように」

エリンのため。その言葉を押し込めて、息を吐きだす。

「そなたには一緒に来てもらう」

その言葉を聞いたとたんにNO NAMEを囲む空気が変わった。

もう一度瞳を瞬きさせると、NO NAMEは瞳を細めた。

「私の答えは決まっていますよ。いきません」

「エリン…と言ったかな、あの少女のことを随分と慕っているようだが」

「エリンに何かする気?!」

「そなたの返答次第だよ」

NO NAMEはゆっくりと歯を噛み締めると、小さく頷いた。

エリンのためなら、盾となろう。

心の中に渦巻くものが外に出てしまう前にNO NAMEは自信の心臓を落ち着かせる。

「エリンやカザルムの人達に危害を加えないことが条件です」

「……そなたは話が早い」

そう言ってダミアは暗い部屋の中で瞳を光らせた。








   

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