息を止めるの | ナノ
14033/4
「お前、アルタカの民だったのか…、」
「…まぁ、はい」
ならあの強さも納得がいく、だがその事実を認めるのにはあの事件を考えなければ。
生き残りがいたんだ。
真っ赤に染まった村を見てきた。
骸があった、生きるものなどいないと思った。
だがイアルは見たんだ、逃げる一人の者の姿を。
「お前が生き残りか…?!」
「………、」
何も答えなかったNO NAMEにカイルは小さな声で謝罪すると、
NO NAMEも小さな声で声を放った。
「内緒にしてください。」
「……それは構わないが、」
カイルが言葉を続けようとした時、イアルの声が響いた。
扉の前に立っていたイアルにカイルは瞳を細めると、イアルは口を開いた。
「ダミア様が貴方を呼んでいる」
それはNO NAMEに向けられた言葉で、エリンもカイルも同時にNO NAMEを見た。
小さなため息をこぼしてNO NAMEは立ちがるとイアルに近づく。
「分かりました、」
「案内します」
「いえ、貴方は腕の手当を…あそこの人に頼みます」
イアルは顔を歪めると、NO NAMEの視線の先にいたカイルと目を合わせる。
「…ですが「いいから、お前は手当をしろって、行くぞ」
カイルの後に続いて出ていったNO NAMEをイアルとエリンは見つめていた。
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