息を止めるの | ナノ

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「後ろにいるぞ!陛下を守れ!!!!」

強い声に堅き盾の者達は頷いた。

後ろから侵入しようとする闘蛇に矢を射ても、その硬い皮には適わない。

「くそっ…」

イアルが自らの剣を抜こうとした時、目の前に現れた人物。

それはあの警備員、NO NAMEだった。

「なぜ貴方が?!」

その言葉と同時に横に伸ばされた手は、イアルがこれ以上踏み出ることを許さなかった

NO NAMEがゆっくりと自らの剣を抜くと、王獣に差し出した。

「無理だ!やめるんだ!!」

イアルがNO NAMEを止めるよりも早くNO NAMEは動き出していた。

同時に闘蛇の爪もNO NAMEにむいている。

間に合わない、そう思ったとき、視界が真っ赤に染まった。

一瞬だった、イアルが動くよりも早く闘蛇の頭は切り裂かれていた。

ゆっくりと見開く瞳、イアルの視界に移ったのは地面に着地したNO NAMEだった。

その剣は真っ赤に染まっている。

「(たった一撃で、闘蛇のあの硬い皮を切り裂いた…)」

その時、空高くから獣の鳴く声が聞こえた。

「あれは…王獣?!」

王獣が人を乗せて飛んでいるのをイアルは目にする。

「エリン!リランを闘蛇に近づけさせてはいけない!!!」

「エリン…?」

NO NAMEが叫んだ言葉の中にあった名前、エリン。

確かにそう言ったNO NAMEにイアルは王獣に乗っている人に視線を向けた。

緑色になびく髪は間違いなくエリンのものだった。

そしてその言葉の意味とは、と考える前に。

王獣は闘蛇に食らいついていた。






 

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