息を止めるの | ナノ

1203
3/4



カザルムを立ち去っていく真王陛下達を遠目で見る。

その姿が完全に消えると、皆の緊張が溶けたように、脱力姿が見える。

そして同時に背後に近づくエリンの気配に振り返れば、

そこには複雑そうなエリンが立っていた。

「なんであんなことをしたの?」

“あんなこと”とはNO NAMEがダミアに剣を向けたこと。

NO NAMEは変わらぬ瞳でエリンを見上げると、強い口調で言葉を放った。

「私はエリンに忠誠を誓ったの、真王陛下でもダミア様でもない」

それにエリンは息を吐き出すと、お手上げのような顔でNO NAMEを見た。

「はぁ…もう、またそうゆうこと言う…」

「これだけは譲らないよ」

「それでも私と貴方は忠誠なんかなくても…」

そう言いかけたエリンにNO NAMEは首を振った。

「違うよ、私はアルタカの民、誰かに忠誠を捧げなくては生きられない種族なんだ」

たとえ民が滅びたとしても、

それだけは変わらない。

NO NAMEを縛るのは掟ではない、自らの意思。




 

[しおりを挟む]
  back  home


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -