息を止めるの | ナノ
12011/4
剣を下ろしたNO NAMEの瞳を見つめていたのはダミアだった。
ゆっくりとNO NAMEに近づいたダミアをNO NAMEは見上げる。
「もっと顔を……、」
ダミアがNO NAMEに手を伸ばしたとき、NO NAMEは小さく笑った。
それにダミアは眉を寄せると、王獣舎の扉がゆっくりと開いた。
「ダミア、その手をひきなさい」
「これは恥ずかしいところを見られました…」
ダミアの口元はゆっくりと釣りあがると小さく息を吐いた。
NO NAMEは被り物をつけると、陛下に一礼した。
「あの時はありがとう、貴方のおかげで助かったわ」
「いえ、」
「先ほどは暗くてよく見えなかったのだけど、貴方の髪の色が…」
陛下がそう言い出したとき、ダミアの口が開いた。
「陛下、この娘は素晴らしい、王獣を竪琴で飼い慣らすことができるそうですよ」
「まぁ…」
ダミアと陛下の視線はエリンに注がれる、それに少し戸惑う様子を見せたエリン。
エリンはNO NAMEに視線を送ると、NO NAMEは小さく頷いた。
音も無く王獣舎から立ち去ったNO NAMEには陛下は気付かなかった。
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