息を止めるの | ナノ
生き残った私に罰を2/2
「リラン!どうしたの?!」
さっきからリランの様子が変だった、
飛行訓練で降り立つ森に一向に降りようとせずに、森の中心部をぐるぐると回っている。
いつもの訓練と違う行動になんだか戸惑う。
「リラン…?」
リランの妙な鳴き声に、なんだか不安を抱いていた。
するとリランの身体は回って、森の中心部に降りようと急降下した。
「っ…!」
まだ慣れない感覚、必死にリランにしがみついていると、大きな振動と共に地上に降りた感覚が伝わってきた。
「はぁ…急にどうしたの?」
リランから降りると、リランの瞳は細まっていた、どこかいつもと違う表情に、
リランの視線の先を見ると、血の気がひくような感覚が体中に沸き上がる。
「人がっ…!!!」
人が倒れている、
一瞬戸惑った体だったが、足は自然とその方向へ向かっていた。
人が倒れている場所だけ赤く色づいた雪がひどく自分を焦らせる。
傷ついた少女だった、瞳は閉じられていて開く気配などない。
首元に手を触れると、冷たい感覚と共に小さな鼓動が聞こえてきた。
「生きてるわ!リラン!!この子をのせてっ!!!」
まだ生きている。
それだけで安心した自分は傷ついた少女を抱えると、リランに近づいた。
するとリランの瞳は更に険しくなって、
少女を警戒するように毛を立てた。
「リラン、大丈夫だから…」
そう言ってもひかないリランを必死に見つめた。
「お願い…この子は傷ついているわ」
リランの大きな瞳を見つめると、リランは腰を下ろした。
それに微笑んで、急いでリランに少女と共に乗った。
「急がないと…っ…」
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