息を止めるの | ナノ

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「あの者は随分と勇気があるのねぇ」

建物に戻って食事を取る陛下が発した言葉にエサルの表情は歪んだ。

「え、ええ」

「ここの警備員はたくましいわね、安心だわ」

「はい、よく働いてくれています」

「でも、なぜ被り物を…?」

「あ、あの子は人に顔を見られることを嫌っていまして…」

それに不思議そうな顔をした陛下に、

次に言葉を出そうとエサルは口を開いたが、

その前にダミアが立ち上がった。

「失礼。少し寄ってしまったようなので、夜風にあたってきます」

そう言って持っていた花をテーブルに置くと、そのまま部屋を出ていった。

キリクが案内すると言って一緒に出ていくのをエサルは見つめていた。









「あの者は何者だ?」

「はい、あのアルタカの民です」

「なに?!それは本当かキリク」

建物の裏でキリクはダミアに跪くと、顔を上げて頷いた。

それに驚いたような顔をしたダミアは薄く笑みを浮かべた。

「……そうか」

「ダミア様、ここにはエリンという教導師がいるのですが…
その娘は王獣を…」


 

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