息を止めるの | ナノ

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「お待ちしておりました」

「警備隊長のイアルです、真王陛下はまもなくご到着します」

カザルム学舎の門が開くと、そこには教導師達が揃っていた。

カイルと共に中へ入ると、全体を見回した。

真王陛下が来る前に怪しい者がいないか警備をしないといけない。

これだけの敷地があるとどこに敵がいるか分からない。

カイルも同じことをいったので先ほど貰った資料をカイルに見せた。

「カザルムに関わりのある人相書きだ、見知らぬ顔はすぐわかる」

「へえ」

「行くぞ」

カザルム学舎ではたくさんの生徒が学んでいて、先ほど教室でエリンの姿も見つけた。

「お、あれ王獣じゃないか?」

「…そうだな」

ちらっと見えた大きな身体、草の上で横たわる王獣達。

それを見ながらカイルは手の中にあったサイコロを遊ばせた。

「おい、今はそれをしまってお」

しまっておけ、そう言い終える前にカイルの身体が揺らいで、

手の中にあった2、3個のサイコロが落ちて転がっていく。

「ご、ごめんなさいっ」

「あ、ああ、気をつけろよ」

どうやらカイルに生徒がぶつかったようで、

必死に生徒はカイルに誤っている。

息を吐き出すと、転がったサイコロを取ろうと、身を落とした。

二つのサイコロは見つけたが、もう一つが見つからない。

廊下の角を曲がった所まで転がったのかと思い、歩いてみると。

既にそこには人がいた。

「…?」

黒い服を身にまとった人はサイコロを取ろうと手を伸ばしていた。

こちらに気づいたのかサイコロを取ると、ゆっくりと起き上がった。

被り物をした者は白い肌をしていた、形のいい唇が少し歪むと、

小さく一礼をした。

「………お前は、」

そう言う前に被り物をした者は自分に歩み寄ると、サイコロをさし伸ばした。

「ああ、すまない」

伸びてきた手は肌と同じく白く、細かった。

男にしては細すぎないかと、思ったがその手はすぐ引っ込んで

一礼するとすぐに背を向けた。

「ま「おい、イアル」

自分の声がカイルの声で消えると、出てきたカイルは不思議そうな顔をした。

「どうした?」

「被り物をした奴がいたんだ」

「被り物?」

もう既にいないその姿の後を見ながら、瞳を細めた。

 

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