息を止めるの | ナノ
09033/3
「明日、リランの子を見に真王陛下がここへくるの」
「真王陛下が…?」
エサルさんに呼び出され、放たれた言葉に少し驚いた。
真王自ら…?
「それは、すごいですね…」
「ええ、それでお願いがあるのだけど」
「なんでしょう」
ここで働くみとして、自分にできることはなるべくしようと決めている。
それを知ってでのお願いだろうと言葉を待っていると、
息を吐いてエサルさんは呟いた。
「エリンを、守ってほしいの」
「それは…、なぜ」
エリンを守ろうと誓ったことはエサルさんには言っていないが
事情はエサルさんは知っているはず。
どうゆう意味なのか知りたかった。真王陛下に関係することだろうと思ったから。
「王獣は人に慣れぬものでしょう…?」
「…そう、でうね」
王獣は人に慣れないもの。私もエリンがリランと一緒に飛ぶところをみたときは
驚いた。
それと同じようにありえないのだ、王獣とここまで近づけるものは。
だからこそエリンはこれから何かに利用されるかもしれない。
世界を動かす者達には必ず黒いものたちがいるのだから。
きっと戦争に巻き込まれたりする、そんなことエリンは望んでなどいない。
「エリンには目立たないようにといってあるけれど、何かあったら、貴方があの子を止めて欲しいの」
それに頷くとエサルさんは笑った。
それにほほえみ返すと、口を開いた。
「私はこことエリンを守ると決めましたから」
「…戦闘民族となれば安心ね、でも貴方もだいぶ目立つから被り物は外さないように」
「はい。」
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