息を止めるの | ナノ
09022/3
「エリン、よく話しかけられるな」
「え?どうしてですか?」
トムラ先輩の表情が濁ると、困ったような顔をした。
「みっともないが、なんだか顔が見えないと怖くてな…戦闘民族だっていうから」
「そんな、NO NAMEはいい子ですよ」
そうか、と言って渋い顔をするトムラ先輩だったが、
先輩だけではなく、他の教導師達もそう思っているのかと思うと、
なんだか胸が傷んだ。
NO NAMEは戦闘民族というだけで印象が決められてしまうのか、
本当は優しい子で、すごくいい子なのに。
「そういえばエリン。」
「なんですか?」
「もうすぐ真王陛下がいらっしゃるけど、その時はどうするんだ?」
「……そうでしたね」
リランの出産した子の視察に真王自ら出向かれると聞いた。
エサル先生には目立たないようにときつく言われていた。
同時にNO NAMEのことでもエサル先生は何か考えていたようだった。
「私は何があっても出ていかないように、と言われています」
「そうだよなあ。」
何があっても目立つようなことはしてはいけない、
けどもしリラン達が真王陛下を警戒するようなことがあったら…、
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