息を止めるの | ナノ
08022/3
用意された自室は広くはないが、安心できる空間なような気がした。
こんな私を置くことを許してくれたエサルさんは優しいな。と思った。
「NO NAME、入るわよ」
「エリン」
エリンの姿が見えると、抱えている風呂敷を私に渡した。
それを開くと、そこには黒い服が入っていた。
「ああ、これが警備服か」
「来てみなよ」
なんだか嬉しそうなエリンに押されてそれを来てみることにした。
これから毎日切ることになる服はとても着心地が良い。
黒い色は地味だが、目立たない色だからちょうどいい。
それに赤い線が所々入っていて、なんだか自分の民族の服と似ているところがあることにすごしびっくりしたが。
なんだか好きな色だった。
「これで髪と目を…」
服の後ろについていた、頭がすっぽりと入る空間を持った布地。
被ってみるとそれはすっぽりと髪を隠した。そして深くかぶれば目も隠れる。
その姿をエリンに見せればなんだか歪んだ顔をされた。
「服は似合っているけれど、美人な顔が隠れちゃうわね」
それに思わず苦笑すると、エリンは疑問そうな顔を返した。
「いいよ、そんなの、エリンとここを守れればそれでいい」
すごく良い仕事を貰った。
自分の力を活かせるのだから、
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