息を止めるの | ナノ
00722/4
「まさかエリンがもう出産してるなんて」
「驚いた?」
「うん、でも心強い」
目の前で笑って温かい茶を入れてくれるエリンに微笑む。イアルさんが戻ってきたときに一緒に家に入ってきたトウヤとエリンの姿に驚いたが、それよりもっと驚いたのはトウヤの抱える小さな子の姿。それはよくトウヤに似ている気がして、すごく、驚いた。
「私も男の子かな?」
エリンの子は、男の子で、自分の子供も男の子であるならばイアルさんに似そうだな、とか考えているとすごく微笑ましくなる。
「まだわからないものね、どちらも名前決めておかなきゃね」
「うん」
微笑みを浮かべていると、扉の開く音がした。外に買い出しに出ていたイアルさんとトウヤ達が帰ってきたのだ。
「体調は大丈夫か?」
「うん、平気」
トウヤに笑いかけると、なんだか嬉しそうにトウヤは笑ってくれる。トウヤには話したいことがたくさんある、いっぱい笑い合いたい。
「NO NAMEはそろそろだから、もう動かないようにね」
エリンの言葉に深く頷いて子の動きを感じる腹を撫でる。本当に愛おしくてたまらない、早く、早く顔を見せてくれないかな。
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