運命の女神 | ナノ

ずっと前の初恋
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「なぜ、苹果ちゃんを助けたんだい?」

私の前には彼が立っている。

前と同じ瞳で、私を見る。

「それは苹果ちゃんが妹だから?」

「違う」

血縁は運命の輪に関係していない、

あの子の運命は違う、

違っていた。


「…あの子、死んでたわ」

私が運命を書き換えなければ、あの子は死んでいた。


「それは運命ではなかったのかい?」

「違う、あの子の運命は違っていた。」

「なぜ、変わったんだ」

細めていた瞳を開くと、

まっすぐ彼を見た。

「それは貴方が知らなくていいことよ、」

「…どうして」

「それを知るだけで貴方の運命は変わるかもしれない、強大な力、恐ろしいモノ」

「それを苹果ちゃんが持ってるってことか」

それにうっすらとした笑いを浮かべると、

彼の表情が変わった。

「…君は、変わってしまった」

変わった、

私は変わってないわ、

ずっと前からこうだった、

こうだったわ。

彼は瞳を閉じると、

私の横を通り過ぎた。

彼の運命は黒ずんでいるわ、

貴方なら、助けてあげられたんでしょうね。


   

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