運命の女神 | ナノ

さもなくば妹死ぬだろう
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僕は神様がくれた奇跡だと思った――…



だからあの子は、

天使なんだ、きっと。





「生存政略ーーーーッ!!!!」


陽毬の声が聞こえたと思ったら視界に写ったのは
いつもの自分たちの家の様子ではなく。

不思議な空間だった、

なぜかドレスアップしてあのペンギン帽をかぶった陽毬が階段らしきものから歩いてくる。

「きっと何者にもなれないお前たちに告げる!」

「ん、あれ、あれえっ?!?!」

気づいたら僕と兄貴の手には
白い鉄格子のようなものがされていて、

後ろにはあの訳の分からないペンギンたち。

「ピングドラムを手に入れるのだ」

「何言ってるんだよ陽毬!」

「妹ではない、我はお前たちの運命の至る場所から来た。」

「帽子だ…」

ふと呟いた兄貴の声、

「あの帽子が陽毬を操ってるんだ」

「そんな!あれは水族館で買ったおもちゃだよ?!」

「うむ。今この娘は我の力で一時的に余命を伸ばしている、はずだが…なぜか運命が変わっている」

「運命?!」

脳内に浮かんだ、あの銀色の少女。




運命――…





あの子は運命と言っていた。

「まぁいい、しかしこの世に無償などない、この命の代償、頂くぞ。」

「待てよ!代償とかっておかしくね―……!」

怒りが沸いたはずだった、

代償?

妹は神様がくれた奇跡のおかげで助かったんだ。

陽毬には生きる価値があるんだ。

その考えを声に出したとき、

俺の意識は途切れた。





そして翌朝再び現れた陽毬を操る帽子と陽毬。

「荻野目苹果からピングドラムを手に入れろ」

また、ピングドラムを探せと。

じゃないと妹は死ぬ。

そんなの嫌だ、ピングドラムを見つけ出さないといけない。

「そしてもう一つ、」

「まだあんのかよ…」

そう漏らした兄貴と同じ気持ちを抱いていた
僕の耳に、陽毬の鋭い声が入ってきた。






「運命の女神を殺せ」












     

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