運命の女神 | ナノ

君に最高のプレゼント
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神様には親友がいた。

世界の運命を司る神、それは運命の女神。



運命の女神はいつも言っていました。


「さぁ誰を愛そうか」


運命の女神はとても気まぐれな神様でしたが、

運命の輪を乱す事はありませんでした。


ですが運命の女神はある日突然運命を乗り換えてしまいました。


神様は運命の女神に激怒し、地上に追放したのです。


そして運命の女神は罰を受けたのです。


その罰はとても苦しいものでした。





―――




暖かい感覚が胸で弾けている。

冷たかった身体が段々暖かくなってくる、胸で弾ける赤いものは体中に広がって

私を侵食する。


「!」

瞳を開ければ、彼に抱きしめられていた。

手が、暖かい。

「…これを取ればよかったんだろう…?」

肩が上下に揺れている、呼吸が荒い彼が差し出したのは、

透明な玉だった、

ゆっくりと手のひらを開いて現れた玉は、パンッと音を立てて風と共に流れていった。

前にはなかった暖かく弾けるものが全身を侵食し始めている。

「…貴方は、私と一つになった…」

「……そうだよ」

小さく笑った彼の表情は和らいでいた、

「私は、死んだほうが良かったの、この世界から消えたほうがいいのよ」

「…君を失いたくないから、僕は君とひとつになったんだ」

はっきりと聞こえた彼の声に、

心臓が揺らいだ気がした。正常に動作し続ける心臓には新しい何かが埋め込まれているような、

別の何かが生まれたような、そんな感覚がする。

彼の瞳は彼と同じ緑色、

綺麗に輝いている彼の瞳はなんだが熱を含んでいた。

「私と貴方は禁忌を犯したわ」

「禁忌…」

私は別の存在、

存在自体恨まれし存在、

嫌われた私。

償いない罰。

「そう、私は誰ともひとつにはなってしまってはいけなかった」

「…そんなこと誰が決めたんだよ、」

「わたしの親友よ」

あの人は全てを決められる存在だった。

ある日私を作って、


私を親友と呼んで力を与えた。


だけど私はある日、





禁忌を犯した。









   

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