運命の女神 | ナノ

やっぱりあの子は魔女だ
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「僕が運命に選ばれた…?」

「貴方だけじゃないわ」

「……君、は…天使なんだよね」

彼女の頬が緩んだ、

彼女の笑顔、

心臓が早い、

胸が高鳴る、

もう、反らせない――…

「違うわ、」

「じゃあ、君は一体何者なの…」

「それは貴方が一番わかってるはずだわ」

「…僕が?」

「私を、何者だと、思う…?」

一つ一つの彼女の声が、

頭に響いて、

深い、深い記憶まで呼び起こす。

「……っ…君は、」

苦しい、胸が、

心が…苦しい。

瞳を思わず閉じると、繋がれていた彼女の手に力が入った。

「!」

引き寄せられて、背中に彼女の手が回る。

「思い出せない苦しい記憶、」

「……、」

近くで響いた彼女の声、

ふいに顔を上げた彼女の顔は、近かった。

「でもね、身体は覚えてるの」

覚えてる、

身体は、覚えてる…。

彼女の身体は冷たいのに、

僕の身体は熱い。

僕は彼女の背中に手を回すと、

ゆっくりと顔を近づけた。



「……僕は君を知ってる。」



薄いピンク色の彼女の唇に、

ゆっくりと触れた。


   

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