運命の女神 | ナノ

2002
2/4

「冠葉、私が貴方を選んだんだよ」

目の前で苦しむ黒く染まってしまった彼を私は選んだ、親友に言われたのだ。どちらかを選び、助けろ。と私は運命の果実を持って、彼の隣に置いた。それは全てを塗り替える果実であったから、

「でも貴方は、晶馬も助けてくれたんだね」

「・・・運命の女神さん」

陽毬からその果実の半分を受け取ると、冠葉に近づいた。それをゆくっりと彼に埋め込めば、まばゆい光が放たれる。それと同時に変わっていく運命に身をゆだねて、私は瞳を閉じた。誰かが私を抱きしめたような感覚がして、瞳を開けばそこには晶馬がいた。

「どうしてここにいるの、乗り換えはもう終わってしまった!」

「僕は君と一緒にいるんだ、僕のために罰を受けた君を愛すために」

その言葉に目を見開いた、胸の中で弾ける熱い何かがこみ上げて私を苦しめる。視界が歪んで、ポロリとこぼれ落ちた涙が空中に浮かんで弾けてしまった。

「思い出したんだ、僕はずっと君を、」

晶馬の腕に力がこもった、私も彼を抱きしめた。私はあの日恋に落ちた、彼の瞳に彼の心に彼の愛に、全てに恋に落ちて、彼を愛した。再び彼に抱きしめらる日が来るなんて思わなかった、弾ける熱い何かを飲み込んで、私は彼の唇に口づけする。柔らかく、温かい。永久の愛を、語るように。永遠の時間を埋めるように。







愛してる

 

[しおりを挟む]
  back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -