運命の女神 | ナノ
19022/2
暗い病室の中、電灯の光が眞悧を照らしていた。
その表情には笑みが浮かんでいる、眞悧の口はゆっくりと開いた。
「やっと僕の元に来てくれたね」
眞悧が手を伸ばした先には、銀色の髪の少女がいた。
少女は笑うことはなかった、ゆっくりと眞悧を見て、瞳を閉じて、また開く。
「…僕があげたプレゼント、喜んでくれた?」
少女は答えることはなかった、
プレゼント、眞悧が少女に与えたのは呪いだった。
自分しか見なくなるように、自分しか求められなくなるように
ずっと、ずっと昔に少女に与えた呪い。
「…シビれるだろう?あの呪いは」
少女はゆっくりと息を吐き出すと、瞳を閉じた。
「……呪いは、呪い…素敵な呪いなんかひとつもないんだよ」
「…それでも、君は最終的には僕を求めるんだ」
交差するい瞳、少女の真紅の中の金色の輝きは衰えることはなく、輝き続けている。
「さぁ、僕に笑いかけてくれ…ずっと一緒にいよう」
眞悧が少女の腕を取ろうとしたが、その手をはらう。
金色の輝きを持つその真紅の瞳で眞悧の瞳を見つめると、小さな声を発した。
「やっと分かったの、教えて……どこにいるの?」
「…なにが?」
「……桃果は、どこにいるの?」
教えて、真実を
←
[しおりを挟む]