運命の女神 | ナノ
18033/3
「兄貴?!陽毬?!」
荻野目さんから教えてもらったビルの最上階へと登れば、
傷ついた家族の姿があった。
血を流す冠葉に、瞳を閉じている陽毬の姿。
二人を抱き寄せれば、優しく包み込んだ。
「どうしてだよ…どうして、何も望んでなんかないじゃないか…」
僕たち家族は、家族で幸せに暮らしたかっただけなのに
陽毬を奪おうとする、冠葉を傷つけようとする、
大切な、あの少女を僕から奪ってしまう、
「私は、違うよ、私は晶馬君達のこと、嫌いになったりしない」
晶馬に寄りかかるように頭をつけた苹果、
「悲しいことも辛いことも、無駄なんて思わない…きっとそれが運命なら、きっと意味がある…私は受け入れて強くなる。」
運命、これが運命なのか?
じゃあ、どんな辛い運命にも、立ち向かうよ
僕は大切なものを失いたくない、
家族を、傷つけたくない
だから、だからせめて…
君に傍にいてほしい
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