運命の女神 | ナノ

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「陽毬っ!!!手を離すなよ!!!!!」

「…冠ちゃん…っ、」

廃屋の中で二人の家族は怯えていた。一人の男はそれを見ながら、ただ微笑んでいた。

「多蕗さんっもうやめてっ!!!!」

それを止められない状況にある林檎はひたすら叫んでいた。


――なんて、醜いことを


「貴方は、桃果を愛していた」

「君は…っ、」

多蕗の前に現れたのはあの少女だった、小さく笑みを浮かべて、多蕗を眺めると

ふっと息を吐き出した。

「……何が欲しいの?」

「…桃果だよ、」

「……貴方は、分かってる。だってとても優しい人だから」

多蕗は瞳を見開くと、顔を歪めた。

そして少女に近づくと、少女の頬に触れた。

「君ならできるだろう、桃果を取り戻すことが」

少女は答えなかった、変わりに瞳を閉じて、微笑む。

「……私が罰を受けるから」

「…君が受けても、意味などないだろう?!」

「あるよ、意味ならあるの。私は罰を受けるべき、者だから」

少女は多蕗の手に触れると、柔らかく手を握る。

「だからね、これ以上…苦しまないでね」


――貴方は大切な桃果の、友達だったから。







全ては私のせいだから、






   

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