運命の女神 | ナノ
17033/3
「陽毬っ!!!手を離すなよ!!!!!」
「…冠ちゃん…っ、」
廃屋の中で二人の家族は怯えていた。一人の男はそれを見ながら、ただ微笑んでいた。
「多蕗さんっもうやめてっ!!!!」
それを止められない状況にある林檎はひたすら叫んでいた。
――なんて、醜いことを
「貴方は、桃果を愛していた」
「君は…っ、」
多蕗の前に現れたのはあの少女だった、小さく笑みを浮かべて、多蕗を眺めると
ふっと息を吐き出した。
「……何が欲しいの?」
「…桃果だよ、」
「……貴方は、分かってる。だってとても優しい人だから」
多蕗は瞳を見開くと、顔を歪めた。
そして少女に近づくと、少女の頬に触れた。
「君ならできるだろう、桃果を取り戻すことが」
少女は答えなかった、変わりに瞳を閉じて、微笑む。
「……私が罰を受けるから」
「…君が受けても、意味などないだろう?!」
「あるよ、意味ならあるの。私は罰を受けるべき、者だから」
少女は多蕗の手に触れると、柔らかく手を握る。
「だからね、これ以上…苦しまないでね」
――貴方は大切な桃果の、友達だったから。
全ては私のせいだから、
←
[しおりを挟む]