運命の女神 | ナノ

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「陽毬、どこにいったんだよ…!」

「晶馬」

病院から抜け出した陽毬を探していた晶馬の名前を呼んだのは、

紛れも無くあの子だった。

真紅の中の金色を輝かせると、小さく笑う。

「……答えは、決まった?」

「…答え」

晶馬は小さく呟くと、瞳を閉じた。

再度開くと、晶馬の瞳は夕焼けをうつしていた。

「決まっているよ」

「そう、」

少女にゆっくりと近づくと、頬に触れた。

薄い笑顔を浮かべる処女の唇に触れると、そのまま額をコツン、とあてた。

「僕は、君を選ぶんだ。呪いなんて関係ない」

―決まっていた、僕の答えは。もうずっと前から分かっていたように。

「そう、言うと思っていたの」

晶馬に笑顔を向けながらも、瞳を細めた少女に晶馬は顔を歪めた。

少女の両手は晶馬の頬を包むと、もう一度体温を確かめ合うように触れ合う。

「……私は、もう、呪いなんてうんざりだわ」

響いた声に晶馬は目を見開くと同時に、確かめ合っていた体温が消えた。

目の前から姿を消した少女。

「…ど、こに」

辺を見回しても少女の姿がない。

「まさか…っ…」

――僕はなんとなく分かっていた、

―――彼女はきっと優しい人だと、とても綺麗な笑顔を持っているから

――優しい彼女は僕のために、何をしてくれる…?

晶馬はおびえるように顔を歪めると、小さく息をこぼす。

「嫌だ…、どこにいるんだよ…お願いだから、消えないでっ…」


――彼女は僕のために、死んでしまうのではないかと、そう思って




 

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