運命の女神 | ナノ
君に最高のプレゼント2/2
「これが約束の金だ」
「ジビれるねぇ…よくこの短期間でこれほどの大金を」
「これで陽毬は…」
「でもこれじゃあ足りないなぁ」
差し出した封筒の上に、置かれたピンク色の薬は揺れた。
「でも前はこれで…」
「薬や相場は生き物だからね、毎日相場によって子供たちが相場によってしわけられていく」
「分かった、今日中に用意する、それで陽毬はいつ治るんだ?!」
「世界の秘密が明かされた時」
世界の秘密…?
部屋を出ていこうとした時、声が響いた。
「あぁ、それと――」
振り向くと、瞳を細めた陽毬の担当医はイスから立ち上がって、顔を近づけた。
「…。」
耳元まで近づいた顔、小さな鼻の呼吸が聞こえた。
「変だね…君から懐かしい匂いがする」
それに眉を寄せて担当医を見ると、
口元は怪しく吊り上げられた。
「シビれるねぇ……君を殺してしまいそうだ…」
向けられた瞳の中に赤く鋭い光が走った、鋭い視線は冗談なんて言っているようには見えない。
一歩足を後ろに下げると、
怪しく面げられた口元が緩んだ。
「冗談だよ」
そう言って瞳を細めて笑った担当医に、
思わず息をのんだ。
―――
「眞悧先生、怒ってます?」
「起こってますよね眞悧先生!」
「あぁ、バレちゃった?」
イスに座ってクルクル回ってみせると、
可愛いウザギ達も微笑む。
「でもしょうがないだろう…?あの子を傷つけるなんて、許せないよ」
「「自分で仕組んだ事なのにですか?」」
「それでもだよ、」
あぁ、早く会いたい。
愛おしい人よ、
僕の全てを変えてしまった君に、
僕より素晴らしい世界を見ることができる君に、
君にかけた呪い、喜んでくれてるかな…?
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