運命の女神 | ナノ
そして僕は一つになった2/2
「兄貴!」
兄貴を追いかけて道を走ると、
ふいに兄貴が横を走って横切った。
名前を読んでも振り向いてはくれなかった。
「…まさか、」
兄貴が走ってきた方向に向かうと、
そこに彼女は倒れていた。
「なッ!!!」
近づいて、手を握れば、
やっぱり冷たかった。
いつもより青白い彼女に、嫌な予感ばかり浮かぶ
「嫌だ、死なないで……よ…、」
ゆっくりと彼女の瞳は開くと、
瞳の中に金色の光はなかった。
「これは、私の……罰」
「罰…?罰をうけるべきなのは僕なんだッ…」
「違うわ、貴方も冠葉も貴方の妹も……私が死ねば、幸せになれる、わ…」
「そんなの、幸せじゃないッ…」
違うよッ…
それは僕の幸せじゃない……
「君が死んだら僕は、僕でなくなってしまう…」
「貴方は、貴方よ…」
またゆっくりと瞳は閉じられかけた、
「ダメだ!!!お願いだ…ッ…死なないで…僕の命を変わりにあげるから…」
小さな体を抱きしめれば、
小さな呼吸が聞こえた。
「……そんなこと言われたの、初めてよ…」
彼女の頬が緩むと、
空間が変わった。
白い、真っ白な世界。
彼女はそこに横たわっていて、
胸のなかできらめく透明な玉。
これを取って
「どうやって…」
一つになるの
僕は彼女を抱きしめると、
小さな唇に触れた。
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