運命の女神 | ナノ

そして僕は一つになった
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「兄貴!」

兄貴を追いかけて道を走ると、

ふいに兄貴が横を走って横切った。

名前を読んでも振り向いてはくれなかった。


「…まさか、」


兄貴が走ってきた方向に向かうと、

そこに彼女は倒れていた。


「なッ!!!」

近づいて、手を握れば、

やっぱり冷たかった。

いつもより青白い彼女に、嫌な予感ばかり浮かぶ


「嫌だ、死なないで……よ…、」


ゆっくりと彼女の瞳は開くと、

瞳の中に金色の光はなかった。


「これは、私の……罰」

「罰…?罰をうけるべきなのは僕なんだッ…」

「違うわ、貴方も冠葉も貴方の妹も……私が死ねば、幸せになれる、わ…」

「そんなの、幸せじゃないッ…」

違うよッ…

それは僕の幸せじゃない……

「君が死んだら僕は、僕でなくなってしまう…」

「貴方は、貴方よ…」

またゆっくりと瞳は閉じられかけた、

「ダメだ!!!お願いだ…ッ…死なないで…僕の命を変わりにあげるから…」

小さな体を抱きしめれば、

小さな呼吸が聞こえた。

「……そんなこと言われたの、初めてよ…」

彼女の頬が緩むと、

空間が変わった。

白い、真っ白な世界。


彼女はそこに横たわっていて、

胸のなかできらめく透明な玉。





これを取って



「どうやって…」


一つになるの



僕は彼女を抱きしめると、

小さな唇に触れた。


   

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