運命の女神 | ナノ
呪われれば殺すことなどできない2/2
「陽毬!ほら、起きろよ!」
冷たくなった陽毬、
帽子をかぶせて、呼びかけると、
帽子の瞳が光った。
いつもと同じあの明るい空間を期待した、
だが、当たりは暗かった。
そして目の前に倒れている陽毬
抱き起こして両肩をつかめば、
うつろな瞳を開く陽毬だった。
「おい!俺の命を分け与えただろ!あの取引を忘れたわけじゃないだろうな!」
「…以前貴様から奪った代償は、電池切れ、ということかな…。ともかくわらわは帰る。ゆえにこの娘の命も尽きる」
嘘だ、
嘘だ…。
「グッド、バイだ」
「帰るってどこにだよ!」
「それは運命の至る場所」
「もう一度…」
陽毬をそのまま抱きしめると、
小さく呟いた。
「もう一度、やってくれないか、」
「無駄だ…あれは恋みたいなもの、始めてのキスのようなもの、一度きりしか無理だ」
「やってみなきゃわかんねぇだろ、ほら、早くやれよ」
「…赤く燃えるサソリの魂か…だが、無理だ」
「くそぉッ!!!……あいつを、運命の女神を殺せばいいんだな……」
「…無理だ」
「ピングドラムがダメなら…あいつを殺せばいい!」
お前には、無理だ…
←
[しおりを挟む]