運命の女神 | ナノ
忘れられない感覚1/2
カチャ
音を立てて額に冷たいモノが触れた。
スリングショットの中には透明な玉が入っていた
「貴方が、運命の女神?」
瞳を閉じて、また開いた。
目の前にはスリングショットを握った、
少女。
「私は貴方を殺さなければならないの」
殺す、
私を、
殺す。
「私を殺してしまったら、貴方の欲しいものは手に入らない」
「どうゆうこと」
「……運命が変わる、ということ」
「信じないわ」
「…なら、いいわ」
ゆっくりと彼女の瞳を見つめると、
彼女の顔は歪んだ。
「本当だわ、言っていた通り。貴方は魔女ね」
その言葉に頬を緩めると、
小さく呟いた。
「色々言われた、女神、魔女。
それでも私は運命を変えなくてはならない。
そう定められた、
これも運命」
「私、貴方に会ったことあるわ、昔…冠葉は貴方に恋していた…」
「……それは違う」
「呪い、でしょう?……貴方に会ってしまって運命が変わったわ、全てが狂った、だから冠葉は私の元に帰ってこない…!」
彼女が引き金をひこうとした時、
視界が真っ暗になった。
「何をしたの!」
「私じゃない、運命」
「…貴方が操ったんでしょう!?」
運命、
運命
運命――――…
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