運命の女神 | ナノ

やっぱりあの子は魔女だ
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「きっと何者にもなれないお前たちに告げる、さっさとピングドラムを奪っちまうんだよ」

「もう無理だよ!」

いや、まだ可能性はある。

多蕗は婚約しちまったが、

あいつも男だ…

あの女に子供さえできれば。

「それがお前たちの役目だ、あの女とファイト一発!」

「陽毬にそんな下品なこと言わせるなー…!」

いつものように晶馬が先に落とされると、

陽毬の目線はこちらに向いた。

「……運命の女神は、どうしても殺さないといけないのか?」

「ふん、お前もまたあいつに呪いをかけられたものか。」

「…呪い?」

あの、綺麗な瞳の少女。

「そうだ、あいつを見た奴は皆呪いにかかる。」

俺が初めてあの子と出会ったのは、

もうずっと前だ。

「…俺も、呪いにかけられたのか?」

「…そうだな」

「解く、方法は…あるのか」

「だから言っているだろう、
あいつを殺せ、と…
そうすれば運命は変わるはずだ。」



あの場所で、

彼女を見た。

俺よりずっと年上で、綺麗な子だった。


髪も声も、全部。


幼い俺には輝いて見えた、


もう遅かったのかもしれない、


会ってしまったのが、いけなかった。


そしたら俺はこんな想いをすることはなかったのかもれない。


ある時彼女は言った。


“可哀想な子”


そして、俺の前から姿を消した。

それから俺の人生は何もかも、

変わってしまった。




「今頃になって…出てくるんじゃねーよ…」

なのに、

あの日、誰もいないはずだった電車の中に

彼女はいた。

変わらない姿で、座っていた。


俺を見つめる瞳はあの頃と変わっていない。






封印していた想いが溢れ出した。




もう、戻れない。


   

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